お茶のこと

お茶の歴史

受け継がれてきた、お茶を愛でる、日本人の心

茶の発祥地は中国と言われ、もともと薬として用いられていました。「お茶を一服」という言葉はこれに由来します。日本最古の喫茶記録は、『日本後紀』にある「弘仁6年(815年)4月22日、僧・永忠が嵯峨天皇に茶を奉った」というものです。そんな貴重品であったお茶が普及したのは、鎌倉時代に臨済宗の開祖・栄西がお茶を中国・宋から持ち帰ったのがきっかけです。

日本のお茶には、茶の湯すなわち抹茶による「おもてなしのお茶」と、自分が楽しむための娯楽=「自娯」という価値観のもとで花開いた茶があります。千利休が侘び茶の祖・茶聖と称されるのに対し、煎茶の祖・茶神と呼ばれるのが高遊外売茶翁(1675-1763)です。江戸時代、中国から煎茶文化が伝わると、町人が、煎茶趣味の中心をになうようになります。 幕末に始まった日本の海外貿易で、茶は絹と並んで有力な輸出品となり、大正時代には最盛期を迎えます。輸出用の茶箱には木版多色摺りの華やかなラベル「蘭字」がつけられました。

煎茶は開放的な空間で形式にこだわらず、自由闊達に楽しむお茶でした。当時としては貴重な磁器の小さな茶碗でいれた薫り高い茶を喫し、席上では漢詩を読んだり、唐渡りの書物や、文房四宝(筆、紙、硯、墨)を愛でたりと、仲間たちとの風流な会話を楽しみました。

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