Ocha is Fun!
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丸久小山園 槇島工場をたずねて。
|   2016年2月10日   |   Ocha is Fun!

 

 

日本茶の歴史は抹茶から。
今回は京都宇治の地で300年以上続く丸久小山園をおたずねし、
絶品の抹茶ができるまで、そして、
そこに込められた こだわりをご紹介します。

 

 

   一枚の看板、それは信頼の証

 

先春園本店には、今も大切に受け継がれている、一枚の看板があります。その看板は船底を使ってつくられたもので、そこには日本における煎茶道の開祖とされる、隠元和尚の言葉が刻まれています。これは元禄年間(1688〜1704年)から続く、宇治茶の老舗製造元、丸久小山園が、おつき合いの長い得意先だけに贈られたもので、今では先春園本店しか所有する店はないのだとか。その取引は、先春園本店の先々代、現在の当主の祖父の時代に始まりました。sub6阪神間で最初に、丸久小山園のお茶を取り扱ったのが、先春園本店だったのです。 先代も若い頃は住みこみで修行に励んだという、老舗のお茶づくりを今回じっくりと拝見させていただきました。

 

 

  「品質本位の茶づくり」が老舗の味を守る

 

長い歴史を誇る丸久小山園は、栽培〜販売まで一貫して手がけ、香りや味、風味に加え、安全性も徹底して管理されています。
その実力は『全国茶品評会』で農林水産大臣賞を30回も受賞するほど。日本一の茶審査技術者を決める『全国茶審査技術競技大会』では、史上初の満点優勝の快挙を果たしたことも。また天皇、皇后両陛下が伊勢神宮御参拝の折には、神宮司庁より御下命をいただいてお茶を献上するなど、品質を追求し続ける姿勢は、時を超えて多くの人を魅了してやみません。
丸久小山園の抹茶は、宇治地方独特の製法でつくられます。
それは日よけに天然の葦や藁を使用し、茶園の天井や横を覆い、sub5天候により日光を調整しながら、ゆっくりと茶木を育ててゆくというもの。新芽をほんの少しの光で育てることで、色鮮やかで渋みの少ない美味しいお茶になります。一番良い土壌に、こだわり抜いた有機肥料を与え、次の年の品質のために新芽の一番茶だけ手摘みする。昔から変わらぬ、手間ひまかけた栽培方法を守ること。それが老舗の味を産むのです。

 

 

   昔ながらの技と最先端の品質管理

 

黒い壁に囲まれた検査室では、自然光だけでお茶の水色などの外観、味と香りを審査。特徴をつかんだうえでブレンドされ、さまざまな銘柄となります。

摘まれた生葉は、最新の機能をもつ工場に運ばれ、すぐに蒸気で蒸されます。その後、炉で乾燥されたものが「碾茶(てんちゃ)の荒茶」として低温で貯蔵され、必要に応じて蔵から出され、大きさを揃えながら、良質の葉だけを選びます。仕上げた碾茶は、外観、味、香りなどから小山元治園主自ら審査し、品質や特徴を見極ていきます。常に安定した味を求められ、それに応えるために栽培・製茶の技術を磨く。これこそ老舗の矜持といえるでしょう。

 

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出荷する直前に、室温20℃・湿度40%以下の状態が保たれたクリーンルームで石臼によって挽かれ、最上級の抹茶が製造されていきます。覆いをかけ、手間ひまかけて大切に育てた茶の新芽だけを摘んで、何回も選別して丹念に石臼で挽く。ひとつの石臼で挽ける量は1時間に40gほど。抹茶は現代における最高の嗜好品なのかもしれません。
丸久小山園には「又玄(ゆうげん)」という銘柄があります。これは「奥深い上にも、なお奥深い道」という意味で、自社製品への責任と誇りがうかがえます。

 

 

   抹茶をもっと楽しむためにsub4

 

丹精込めた上質の抹茶を、気軽に楽しめるお店、丸久小山園西洞院通店・茶房「元庵」では、ショップに併設された茶房で、宇治茶と季節の生菓子や抹茶のロールケーキなどが楽しめます。店内には京都らしい坪庭や茶室があり、季節を感じる茶器を使うなど、随所にこだわりが感じられます。

 

 


 

 

 

 丸久小山園の抹茶Q&A 

 

Q1. 製造において特にむずかしい点、または気を使う点は?
A1. どの工程も大切ですが、特に官能検査には気を使います。
抹茶には単品というものがなく、すべてブレンドされたものです。農産物であるお茶は天候に左右され、年によって出来不出来がある茶葉を一定の味の製品に仕上げていく必要があります。

 

Q2. 1台の石臼で挽くことができる抹茶はどれぐらいですか?
A2. 1時間あたり約40gです。

 

Q3. 宇治の抹茶と他の産地との違いは何ですか?
A3. 宇治は代表的な高級茶の産地として有名です。400年以上も前に、この地方独特の製法「覆下栽培(おおいしたさいばい)」が始まりました。 宇治地方では田んぼの真ん中でお茶を栽培したため、一日中、日が照りつけました。そこで考えられたのが、この茶畑に櫓(やぐら)を組み、アシで覆いをする方法です。新芽が出る4月上旬から20日ほど、茶園に棚を建て、ヨシズを置いて、その上から藁を振りかけて、徐々に日光を遮断していきます。そうやって光を遮ることで、渋みの成分(タンニン)が少なく、旨み成分(テアニン)の多い、抹茶に適した高級茶葉になるのです。また1年に1回だけしか摘みとらないのも特徴です。

 

Q4. なぜ今も石臼が使われているのでしょうか?
A4. ミキサーやミルによる機械粉砕だと効率は上がりますが、高速回転で急激に熱が加わると、抹茶の色や香り、風味が損なわれてしまいます。そのため昔から石臼を使用しています。その中でも茶臼は格段に優れた機能があり、回転スピードも風味を殺さない絶妙な設定にしています。茶臼の緩やかな加熱が、抹茶特有の芳香を生成するのです。

 

Q5. 石臼で挽かれた抹茶はどのくらい細かいんですか?
A5. 約5〜10ミクロンの超微粉末で、指に載せると指紋の中に入ってしまうほどの細かさです。

 

Q6. 家庭での保存方法はどうすればいいですか?
A6. 緑茶は繊細で高温、多湿、日光、空気、移り香に敏感に反応します。なかでも抹茶は変色変質が早く注意が必要です。
冷蔵庫などで保存し、開封後は容器のふたをしっかりと閉めて、新鮮なうちにお召し上がりください。

 

Q7. 抹茶の価格はどうやって決まるんですか?
A7. 製茶後の茶葉の品質による味の差から価格が決まります。
基本的にお抹茶はランクが上がるほど、味・香り・甘味が増していき、逆に下がると苦みが強くなっていきます。

 

 

 見学を終えて 
抹茶が小麦粉より細かく仕上げられていることに驚きました。 また、先春園の先代が丸久小山園で丁稚奉公に出ていた時代のこぼれ話を聞くことができて、楽しかったです。その時代から今までずっと関係が続いていることも素敵ですね。
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知れば知るほど奥深いお茶の世界に魅せられ、もっとお茶について知識を深めたいと勉強中。

 

 

 

(2015年12月11日)

 


 

 

 今回訪れたのは、こちら。

 

(株)丸久小山園 槇島工場
住所:京都府宇治市槇島町中川原172-4
電話:0774-25-0505
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日、祝日、土曜不定休
槇島工場では、予約にて抹茶工場の見学を受け付けています。
www.marukyu-koyamaen.co.jp/